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カウンセラー名: 丸田茂樹
 
 
 
 

売掛金の究極的回収方法
丸田法務事務所  丸田茂樹


 

本題に入る前に、最近急速に伸びてきたネット販売について、軽く触れておきます。ネット販売では、相手方の顔が見えないため、支払能力と支払意思を多くは確認することができません。そのため、売買代金の回収が不能となるリスクは事前に回避しておく必要があります。代金引換で商品を送るのは無難な方法です。
どうしても先に商品を送らなければならない場合には、商品の所有権は代金の決済があったときに買主に移転するという、いわゆる「所有権留保」を利用することをお勧めします。代金の支払いがない場合には、所有権に基づいて商品の引き揚げができるからです。もっとも商品によってはこれに適さないこともあります。

会社間の取引において、買主が支払期日を過ぎてもなかなか売買代金を支払ってくれない場合、何故支払ってくれないのかという原因の解明が一番重要です。それは、その原因によって、対処の仕方が変わるからです。今まで順調に取引関係を続けてきたので、これからも継続していきたい場合にはなお更です。売掛金の回収は経理課の業務でしょうが、原因の解明や支払能力の調査などには直接先方と取引の交渉をして、事情に通じている営業課の協力が不可欠でしょう。
支払ってくれない原因としては、例えば、今現在は現金がないが近い将来確実に現金を取得できるとか、あるいは現在も将来も建て直しの見込みがなくまさに破産寸前であるとか、様々な状況が考えられます。
前者の場合には、買主はおそらく支払期日の延長を申込んでくるでしょう。このとき、換価の容易な比較的高価な掛け軸・絵画・壷などの動産を担保に取っておくのも一つの手でしょう。不動産の担保は先順位の担保権者がいることが多いだけでなく、換価が容易ではないからです。
それと同時に、契約内容を公証人役場で「公正証書」にしておくことは、売掛金の回収にとって有効な方法です。それは、公正証書には、確定判決と同様に、強制執行にゴーサインを出すお墨付(債務名義)があるからです。ただそのためには、一定の金額の金銭の支払い等を目的とする請求でありかつ債務者が直ちに強制執行に服する旨のことが記載されていなければなりません。
後者の場合には、一番いいのは社長個人に連帯保証人になってもらうことです。会社が倒産してしまえば、売掛金の回収はほとんど不可能です。社長さんは、通常債務を全部支払って誰にも迷惑をかけないという気概をお持ちになっています。ですから、案外個人保証を承諾してくれるものです。

さて、いよいよこれからが本題の売掛金の究極的回収方法です。分かりやすいように図を入れてみました。
(事例)  甲会社は乙会社に対して、商品を納入したが、乙会社はその商品の代金の100万円(@)を支払期日が過ぎても支払ってくれない。一方、乙会社は丙会社に対して、100万円(B)の売掛金債権を有している。
このような場合に、甲会社が100万円(@)の売掛金債権を回収する方法として、@の債権に注目する方法と、Bの債権に注目する方法とがあります。

(1)  @の債権に注目する方法
(a ) もし甲会社が乙会社から商品などを購入し、乙会社に対して、100万円の支払債務Aを負っていた場合には、甲会社は乙会社に対して、@の債権とAの債権とを「相殺」する旨の意思表示をして、お互いの債権を帳消しにすることができます。
相殺は、債権者と債務者とが同種の債権・債務をもつ場合に、その債権と債務とを対等額において消滅させる一方的意思表示なのです。相殺は、債権・債務をもつ当事者に便宜と公平をもたらすだけでなく、債権回収について事実上の担保的作用を営むのです。

(b)  それでは、甲会社が乙会社に対して、何ら債務を負っていない場合にはどうでしょうか。この場合には、甲会社は乙会社から商品などを購入して、新たに100万円の支払債務を負うのです。この購入した商品は自社で使用してもいいし、他社に売ってもいいでしょう。そうすれば、(a )と同様に@の債権とAの債権とを相殺することができます。勿論、このような債務を生じさせるのに適しない場合もあります。

(c )  最後に、Aの債権をどうしても生じさせることができない場合にはどうしたらいいでしょうか。この場合、乙会社に対して債務(B)を負っている丙会社を探しだし、@の売掛金債権を丙会社に譲渡しましょう。丙会社が甲会社と取引関係がある場合だけでなく、取引関係がない場合でも、100万円を90万円で譲渡するということになれば、丙会社としては10万円得するわけですから、応じてくれるはずです。
そして、丙会社としては、乙会社に負っているBの債務(乙会社の債権)と譲渡を受けた債権(C)とを相殺することによって、乙会社に対して負っている債務を差し引きゼロにすることができるのです。
甲会社は、確かに10万円損をしますが、全く回収できないよりは良いというものです。

(2)  Bの債権に注目する方法
(a )  まず、甲会社は、乙会社が@の債権を支払うことができないのであれば、乙会社が他社の丙会社に対して有する債権Bを、自己に譲渡するように要求します。
そして、甲会社としては、譲渡を受けたDの債権の支払いを丙会社に請求することによって、実質的に@の売掛金の回収をしたことになるのです。

(b)  では、Bの債権に譲渡禁止の特約がなされていた場合にはどうでしょうか。この場合、甲会社が、譲渡禁止の特約がなされていたことを知らなければ、有効にBの債権を取得することができます。ですから(a )と同様になります。
そして、譲渡禁止の特約を知っていたときには、乙会社との間で「代理受領」の契約を結びましょう。代理受領とは、AがBにお金を貸したときに、AがBにお金の返済を請求する代わりに、第三者であるCという人にその請求権を譲渡して、Cが請求することができるというものであり、債権自体を譲渡するわけではありません。
この方法によれば、甲会社は、Bの債権の支払い請求を、丙会社にすることによって支払いを受け、自己の債権@に充当することになります。 

(2007/12/01 速習)

 
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・売掛金の究極的回収方法

 
 

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