はじめに
平成18年度の税制改正により、役員報酬の税務は大幅に変更されています。その内容については、前月号でも解説させていただきましたが、今回はお金も貰わないのに課税される「経済的利益」について税制改正後の取扱いを解説します。
法人税法上の経済的利益について
法人が役員に供与した経済的利益が給与とされるものの例示が、12項目にわたって明示され(法人税基本通達9‐2‐10)、報酬と賞与の区分がされています(法人税基本通達9‐2‐16)。その内容を簡単にまとめてみました。

税制改正後の取扱い
報酬となるものについては、税制改正後の定期同額給与とみなされ、原則的には損金算入が可能となります。賞与となるものについては、税制改正後、臨時的な報酬となり損金不算入となります。ただし、定期同額給与として取り扱われる報酬については、実際に現金支給されている額と経済的利益の額を合計して過大役員報酬の判定が行われるために注意が必要です。この場合、過大役員報酬となれば、その過大部分は損金不算入となります。
また、特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入の役員報酬の金額には、前記の経済的利益の額が報酬・賞与ともに加算して判定・計算することになっていますので注意が必要です。
所得税の取扱い
所得税法上では、通常の金銭で支給される給与に加えてこのような経済的利益についても、原則的には所得税の源泉徴収の対象となります。よって、経済的利益についても、会社が源泉所得税を徴収し納付する義務が生じます。
ただし、経済的利益のなかには、換金性に欠けるものや金額的に僅かなもの、その評価が困難なもの、政策上の特別な配慮があるものもあります。このような場合には、
@所得税が課税されない
A一定限度額を定めてその範囲以内の場合には課税しない
B一定限度額を定めてその範囲を超えた場合には課税する
C価額を一定の方法によって割引評価して課税対象額を計算する
こととなります。
最後に
いかがでしたでしょうか?賞与となった場合の経済的利益の供与は、法人税法上で損金不算入となり法人税が課され、さらに所得税法上で源泉所得税も課されます。税務調査などで指摘された場合にはダブルで課税がされてしまいますので注意が必要です。
しかし、逆に経済的利益であっても定期同額給与となって法人税法上でも損金算入となり、所得税法上でも非課税となる場合もあります。つまり、これをうまく利用すれば節税対策にも利用できます。一度自社の経済的利益をチェックしてみてください。
(2007/05/01 近代中小企業)