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知的財産権の取り扱い
特許情報とは何か

特許情報とは、特許出願に記載された情報をいいます。この特許出願は、願書、特許請求の範囲、明細書、図面(任意)、要約書から構成されます。原則として出願から1年6月後に全て公開公報として公開され、登録時には特許公報として公開されます。
「願書」には出願人や発明者に関する情報が記載されます。「特許請求の範囲」には権利を要求する発明の範囲が記載されます。「明細書」には従来技術、解決手段、実施例などの発明の具体的な内容が記載されます。「図面」には必要に応じて装置の外観図、ブロック図、電気回路図、システム図、フローチャートなどが記載されます。「要約書」には発明のポイントを400字以内にまとめたものが記載されます。そして、
・願書に記載の情報は「書誌情報」
・特許請求の範囲に記載の情報は「権利情報」
・明細書、図面、要約書に記載の情報は「技術情報」
としてそれぞれ把握されます。
特許情報は他の技術情報とどこが違うのか
特許情報以外にも書籍、論文、技術DBなどの様々な技術情報がありますが、特許情報はそれらの技術情報に比べて左表のように多くの特徴があります。これらの特徴からもわかるように特許情報は技術情報の中でも最も有益な情報であるといえるでしょう。
特許情報の特徴
・特許情報の入手・収集が用意である
・国際的に統一された技術分類分け(IPC)がなされている
・書誌事項の書式が決まっており読みやすい
・技術分野に偏りがなく、あらゆる技術分野が網羅されている
・発明の内容が実施できる程度に具体的に記載されている
・最先端の技術情報が記載されている |
特許情報を取得する方法
特許情報を取得する方法には、有料・無料の様々なデータベースが存在しますが、最も有名なデータベースとして「特許電子図書館」(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)があります。この特許電子図書館は、特許、実用新案、意匠、商標に関する情報を、誰でも、いつでも、どこでも、無料で調査することができる便利なサイトです。
例えば、ある会社の特許出願を調べたい、ある技術に関する特許を調べたい、ある特許の現在の経過を調べたいといった場合、それらを簡単に調査できます。この特許電子図書館の具体的な操作方法については、本誌10月号19ページに記載されていますので、そちらをご参照ください。
特許情報を活用するための6つの方法と手順

@研究テーマの設定に活用
研究テーマの設定に特許情報を活用することができます。一般に研究テーマを設定し、それに基づいて長期に亘って研究を行い、優れた発明が創出された場合には特許出願を行います。
このとき特許情報を何ら調べることなく研究していくと、特許出願の段階(さらに出願後の審査の段階)になって同じような発明の出願が判明することがあります。これでは研究に費やした時間、費用、労力のすべてが無駄になってしまいます。ですから、研究テーマの設定の段階において特許情報を調べることにより他社の研究状況を把握し、さらには他社の研究の成果をステップとしてさらに研究していくことが効率的です。
A欲しい技術の発見に活用
欲しい技術の発見に特許情報を活用することができます。近年、経営における資本の選択と集中の重要性が注目される中、技術についても自社にとって比較的弱い分野の技術を導入することが重要になってきています。この場合に、どの会社がどのような技術を所有しているかを特許情報により調べていきます。特許情報はあらゆる技術分野を網羅しておりますので欲しい技術を発見することは比較的容易です。欲しい技術を発見すれば他社と交渉を行って実施許諾を受けるとよいでしょう。
もちろん、他社から実施許諾を受けるには通常、ロイヤリティを支払う必要がありますが、自社で一から研究開発していくよりも時間、費用、労力の面でメリットがある場合も多いです。
B自社発明の特許性の判断に活用
自社発明の特許性の判断に特許情報を活用することができます。言うまでもありませんが特許を取得するためには、新規性や進歩性といった要件が必要となります。
特許出願にはそれなりに費用もかかりますし、審査結果が出るまでに平均2?3年もかかります。ですから、特許出願をする前に果たして特許を取得できるかどうかを判断するために特許情報を調べます。仮に同一または類似の発明の出願が存在した場合、自社の特許出願を中止又は改良することにより、出願に係る費用や時間を軽減することができます。
C他社特許の無効の判断に活用
他社特許の無効の判断に特許情報を活用することができます。特許出願は特許庁の審査官によって審査されておりますが、審査官も完全に先行技術を調査できているわけではありません。日本だけでも年間40万件前後の特許出願がなされており、その中から限られた時間で同一または類似の先行技術を発見していくわけですから、どうしても調査の漏れが生じる場合があります。
このような場合に特許情報を詳細調査していくことによって審査官が見落とした先行技術を発見できる場合があります。場合によっては日本だけではなく海外の特許情報を調査することもあります。発見した先行技術を理由に無効審判を請求すれば、他社特許を無効にすることができます。
D他社や業界の技術動向の把握に活用
他社や業界の技術動向の把握に特許情報を活用することができます。これは近年注目されてきている特許情報の活用の方法です。他社がどのような特許を出願しているかを調べれば他社が今後発売する製品などを把握できます。また業界全体においてどのような特許が出願されているかを調べれば業界全体がどの方向に進んで行こうとしているかを把握できます。 さらには、海外特許(パテントファミリーなど)を調べれば他社の海外展開を把握できます。
さらに、後述する「パテントマップ」を併用すれば特許情報を経営戦略の指針として大いに活用することが可能となります。今後は企業経営にとって最も重要な特許情報の活用法になることでしょう。
E技術ライセンス・M&Aに活用
技術ライセンスやM&Aに特許情報を活用することができます。近年、技術ライセンス供与やM&Aが盛んになってきていますが、その際に技術価値や企業価値が気になるところであります。技術価値や企業価値を把握するのには様々な方法がありますが、そのうちの一つの方法として当該技術や企業の特許情報を調べるのが効果的です。
例えば、買収しようとしている企業が製造メーカーであるにもかかわらず、特許をほとんど所有していないといった場合、その企業価値に疑問を呈することになります。
また、逆に数多くの特許を所有していたとしても、その多くが意味のない特許だと同様に企業価値に疑問を呈することになります。ですから、その企業が重要な特許をどれだけ所有しているかを精査することにより企業価値を的確に評価することができます。技術価値の評価についても同様です。
パテントマップを上手に活用しよう

このように、特許情報は様々な場面で活用することができます。しかしながら、特許情報が数十件程度のものであれば単に公報を閲覧するだけも把握できるのですが、数百件、場合によって千件以上にのぼる場合も珍しくありません。そのような場合に特許情報を羅列的に表示したけでは内容や動向を十分に把握することは困難です。
そのようなときにパテントマップ(特許マップ)の登場です。このパテントマップとは、膨大な特許情報を収集・整理・分析・加工し、図面・グラフ・表などで視覚的に表現したものです。
パテントマップにより特許情報を視覚化すれば、企業の経営者、技術者以外の部署にも他社や業界の技術動向を体系的に把握することができ、経営戦略の指針に活用することが可能となります。
(2007/11/01 近代中小企業)