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カウンセラー名: 上野友紀子
 
 
 
 

環境問題は大きなビジネスチャンス!! エコ商品の前に「エコ社員」をつくれ!
株式会社フルハシ環境総合研究所  上野友紀子


 
原油・原材料価格上昇と金融のエコ化の波

ここ数年、原油・原材料価格の高騰が続いている。ガソリン価格だけでなく消費者にとって身近な製紙、食料品の分野の製品価格が値上げされるというニュースが次々飛び込んできているせいか、環境問題を身近な問題としてとらえる消費者が増える理由のひとつにもなっている。

また、原油・原材料価格の上昇は、企業の収益を圧迫し経営に直接的ダメージを与えている。それどころか、省エネ・省資源化など、企業のコスト削減努力を超えるほどの深刻な影響が生じてきており悲鳴を上げている企業も少なくないのが現状だ。

中小企業庁が2007年7月に行った調査によると、
原油・原材料価格上昇による収益圧迫の影響があると答えた中小企業の割合は、昨年夏の約75%から拡大し約90%にまで上った。


特に、パルプ・紙製品、食料品、ゴム製品、化学、出版・印刷、金属製品、木材・木製品、非鉄金属の業種で収益への影響が大きい。
しかも「価格転嫁が困難」であり、全く転嫁できていない企業は約40%もある。
環境問題を背景に現実的なビジネスの問題としてシビアな影響が出てきていることがお分かりだろう。

また、中小企業が関心を持つべき話題として「金融のエコ化」の波がある。
社会的責任投資(SRI=Socially Responsible Investment)という財務指標だけでなく、環境への取り組みやコンプライアンス(法令遵守)、従業員への配慮や地域社会への貢献など、企業の社会的取り組みを考慮して投資を行う考え方が台頭してきている。 わが国においては2006年3月末時点で、10を超える投資信託会社から約20本のSRI型投資信託の設定がされている。

SRIの課題は、まだまだ認知度が低く普及していないという点に尽きるが、環境省の調査によると国民の意識として
「証券投資をするときに企業の社会的責任投資を考慮に入れるべき」との回答は、全体の約90%を占めた。また、60%を超えるアナリスト・ファンドマネージャーが「今後、日本でSRIが普及する」と答えている。
SRIの普及とともにコンプライアンスや地域への社会貢献、環境への取り組みなどを地道に誠実に行ってきた企業が勝ち残るという図式が浮かび上がる。

銀行における取り組みも少しずつ始まっている。具体的には、クレジットポリシーに環境配慮を盛り込むとともに、環境をリスクとして捉え、融資審査の際、土壌汚染など環境的要素を綿密に調査するようになってきているなど、顧客の事業性全般また融資対象案件の環境リスクについて、与信判断時のチェックを高度化していく動きがある(※2)。

中小企業にとって金融のエコ化の波は、今後、容赦無く押し寄せてくることが予想される。しかし、これらの「環境」に関わる社会の動きをリスクとしてとらえるのではなく、ビジネスチャンスとしてとらえることもできる。環境問題解決に向けた取り組みを積極的に進める企業に、お金の流れを向けようと社会全体が動いていると認識すべきである。

消費者の意識変化を見逃すな

消費者の環境への意識・関心が低くては「環境にやさしい」製品やサービスを作っても売れない。価格アップに対し買い控えされてしまうのではないかという心配もある。環境省が2006年に行った調査によると、
企業が環境ビジネスを進める上での問題点として、「消費者の意識や関心がまだ低い」が約40%と最も高かった。

さて、果たして本当に消費者の意識・関心は「まだ低い」のだろうか。大手企業を中心に環境配慮型製品づくりや、消費者に「エコ」を訴える広告宣伝が目立ち始めてはいないか。例えば、松下電工では「eco ideas」というキャッチコピーを大きくかかげ、テレビコマーシャルや電車の中吊り広告などで、同社の環境配慮型製品によって家庭における二酸化炭素の排出量が削減でき、同時に電気代の節約にもつながると訴えている。

企業からのこのような呼びかけに対して、消費者はどのように反応しているのだろうか。日経BP社が2006年6月に主婦2000人を対象に行ったアンケートでは、
約9割の人がエコ商品を選んで購入していると答えている。

また、2007年3月に博報堂が一般生活者を対象に行った意識調査では、
「地球温暖化」に関心のある人は90%を超え、昨年の約80%という結果から大きく伸びていることがわかった。
企業に対して期待する項目は
・環境に配慮した商品・サービスを販売する
・商品を製造する際に環境に配慮する

この2つがともに80%を超えた。消費者の環境に対する意識・関心は急速に変化を見せつつあることがわかる。

エコ商品の前にエコ社員をつくる

環境がブームをむかえたとの声がある一方で、中小企業の実情からすればまだまだ環境の取り組みが進んでいるとは言いがたい。ある中小企業の経営者は、「日々の利益確保に苦心するさなか、利益と直接結びつかないような新しい事に時間は避けられない」と意見する。多くの中小企業経営者が同様の見解を持っているのではないだろうか。

では、中小企業が環境ビジネスで利益を上げるポイントはどこにあるのか。そのヒントは「エコ社員」づくりにある。前述の環境省の調査結果にもどると、企業が環境ビジネスを進める上での問題点とし、
「組織内でアイデアなどが不足している」という項目が約25%を占め2番目に多かったという。

また、日本経済新聞(2007年9月17日付朝刊)によると、全社員を対象にした環境教育に力を入れる企業が増えているそうだ。これらの企業は全社員の教育に力を入れることで、今後のビジネス成長のカギとなる環境配慮型製品の開発につなげたいという事情があるようだ。環境教育の充実はアイデア不足の解決策になりうる。

しかし、そう簡単に社員は変わらない。当社が数多くの企業と接し、社内の環境教育や意識啓発に関する課題をたずねたところ、「社内の隅々にまで環境の意識を浸透させ、行動に結び付けるところまでなかなか行かない」と、あらゆる企業が苦心している事情がわかった。知識や情報を詰め込むセミナー形式やeラーニングを受けても、なかなか一人ひとりの腹におちない、心に働きかけない、行動へつながる動機に結びつかないというのが現状のようだ。

下記に、「エコ社員」づくりの取り組み事例を紹介するので、ぜひ貴社の参考にしていただきたい。

[事例@]企業人のエコ・モチベーションアッププログラム「エコモチ」

中小企業におけるエコ社員育成に朗報!「つながる」インセンティブで社員は動く!
「エコモチ」は、10数社の企業が集まりコンソーシアムを結成したことから始まった異業種混合プロジェクト。当社(フルハシ環境総合研究所)が事務局を務める。

「エコモチ」プログラムのしくみ
社員に実践してもらいたいエコ・アクションメニューをWeb上で提供。社員が自らのレベルや関心に合わせメニューを選択することができ、定期的に実践したかどうかをチェックできる。実践したアクションの数によって「シード(種)」というポイントが発行される仕組みだ。
貯まったシードは環境保護、教育支援、医療支援などの活動を行うNGO、NPOに、社員自らの意思で団体を選択し寄付することができる。寄付金には会社の予算が当てられる。従来のポイント制度といえば、モノやお金が自分に還元されるイメージだが、「エコモチ」では、世界の困っているところへ「シード」を支援として手渡す仕組みを取ることで、参加する社員がエコ・アクションを実践する動機に強く働きかけることを狙いとしている。
コンソーシアムに参加する企業のうち9社によるテストランニングを実施。その結果、参加した社員からは「コンセプトが良い、有効な仕組みだと思う」「モニター体験をきっかけに環境にやさしい行動が取れるようになった、意識付けになった」「継続実施、拡大実施したほうがよい」という声が多数寄せられた。意識高揚、行動の促進に効果があることや、コンセプトが広く受け入れられるものであることがわかった。
2008年4月より「エコモチ」のWebシステム(http://www.ecomoti.jp 12月3日より公開)が本稼動し、あらゆる企業が利用できる共通プラットフォームとして誕生する。

[事例A]アウトドア用品メーカー「パタゴニア社」の場合

アメリカのアウトドア用品メーカーとし知られている同社への支持と人気は、創業者のイヴォン・シュイナード氏の「最終的なゴールは、製造するすべてのものに対して環境的責任を取ること」という言葉にある。
同社の取り組み事例を一つ紹介すると、1996年にすべてのコットン素材をオーガニック(有機栽培綿)に切り替えている。綿は害虫に弱く他の作物より格段に多くの農薬を必要とするため環境への負荷が高い。当時はオーガニックコットンの調達先が安定していないばかりか価格も高く、利益の落ち込みは見当もつかないほどだったという。
だが、環境や消費者の健康に悪影響があるとわかった商品を売り続けることはできないという「良心」をもった経営陣が動いた。このオーガニックコットンは最終的に消費者からの支持を得る結果となった。この事例で興味深いのは、オーガニックコットンへのこだわりを第一に支持した人々が、消費者ではなくパタゴニアの社員たちだったことだ。何百人もの社員がコットン畑を見学し、農薬使用の危険性とオーガニック栽培の有益性を自分たちの目で確かめた。その後、社員の多くが自分や家族が使う衣料や食料をオーガニックに切り替えたばかりではなく、この問題にかかわる活動家となって周囲に発信しはじめたそうだ。

※2=環境などに配慮した「お金」の流れの拡大に向けて (環境省 環境と金融に関する懇談会 H18.7)より

(2007/12/01 近代中小企業)
 
■執筆レポート

・環境問題は大きなビジネスチャンス!! エコ商品の前に「エコ社員」をつくれ!

 
 

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