まずはトップのコミットメントに始まる
今回は、いよいよ組織としていかにES改善活動を推し進めるべきかの話をしてみたい。まずは、経営者あるいは、経営陣の「ES向上の責任は経営にある」という覚悟が問われる。
松下幸之助氏は、「社員を幸せにできない社長はクビだ」と言い。GE(ゼネラル・エレクトリック社)の前会長であるジャック・ウェルチも、「ESが低い会社のリーダー(トップ)は首だ」と言っている。
要は、名経営者の考え方の基本は、「社員を幸福にできないリーダーのもとでは、会社が発展・繁栄することはない」ということである。
すなわち、本気で会社を大発展させようと思うなら、経営者及び経営幹部は、「必ず、社員にとって、夢と希望に満ちあふれた素晴らしい会社経営を実現するのだ」という強い決意がなければならない。
このような真剣なコミットメント(宣言)をトップが発信しただけで、ESが向上した会社もある。トップの言葉には、力があるのだ。
しかし、ES改善活動においては、焦りは禁物である。孫子の兵法の中に、「始めは処女の如く、後は脱兎の如く」という言葉があるが、まさしくこの言葉を念頭において、まずは現場の小さな改善から少しずつ成果を上げ、活動を進めていただきたい。
ES向上改善活動の成功パターンの例
それでは、着実にESを向上させることができた典型的な成功パターンを紹介する。
@経営者・経営幹部の社員への真摯な態度
ESを向上させる基本は、風通しのいい組織の実現である。そのためには、やはり経営者自身が、直接社員と真摯に語り合う場を、努力して設けることである。
ESが高い会社というのは、経営者自身が、自ら大きな理想に熱く燃えながら、現場の実情も良く知っている。また同時に、現場の社員も、経営者の考え方や人柄まで良く知っており惚れ込んでいるものだ。
そのための成功事例は、トップや経営陣による、
・現場の訪問・社員を集めての社員との対話
・トップを囲んでのラウンドテーブル
・ランチミーティング
などを、和やかなムードの中で実施することである。
この際のマインドのポイントは、社員一人ひとりを大切にする誠実な気持ちで、しっかりと意見を聞くということである。この聞き方が悪いと、ESが下がることもある。そして、実現可能な意見は、即決で実行に移すことである。
AES向上改善活動の全社的な立ち上げ
経営者や経営陣による社員との対話だけでなく、同時に、経営者のバックアップのもと、「ES向上改善活動の全社的なプロジェクト」を発足させ、経営者から末端の社員まで、一丸となってES向上改善活動に取り組んだ事例では、大きくESが向上している。
特に、職場や部署のリーダーに、明るく元気で、将来、経営幹部になるであろう優秀な社員を思い切って抜擢できた事例では、どのケースも大きな成果を出している。
そして、このプロジェクトを、うまく支えるために、経営者直轄の事務局を設けた事例は、スムーズな立ち上げと運営に成功している。
活動の進め方としては、その事務局と一緒に、各職場で任命されたES向上改善リーダー達が、ESロジックツリー(上図を参照)を使い、まずは各職場でアンケートを行う。これで、各職場のES向上の問題点の傾向をつかむのだ。

さらに、ES向上改善ミーティングを職場単位で開催し、問題点の詳細を確認していく。そして、いかなる対策が必要であるのかブレーンストーミングを行いアイデア出しを行う。
次に、そのアイデアをES向上改善リーダーが持ち寄り、職場レベル、部門レベル、全社レベルにわけ、それぞれに対策案を立案する。その対策案について、「何を、誰が、いつまでに、どのような方法で」ということを明確にしていく。
そして、レベルごとに出来上がった対策案を、職場の長、部門の長、経営者や経営陣に対して、きちんと発表・説明会を行う。
その説明を受け、職場の長、部門の長、経営者が、その場で承認するかしないか判断をし、承認したものはすぐに実行に移す。さらに、成功事例を全社で共有し、優秀なものは表彰する。また、成功事例を発表する全社大会を、賞品つきで実施すると盛り上がる。
以上のような、ES向上改善活動の成功の流れを参考に、個人だけでなく組織としても貴社のESが高まり、ますます大発展されることを心から強く願っている。
(2007/07/01 近代中小企業)