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カウンセラー名: 沢田雅男
 
 
 
 

社運をも左右する知的財産管理の重要性
沢田国際特許事務所 沢田雅男


 

事例1対外国特許出願における翻訳ミス

あるクライアントの外国特許出願が、前に使っていた特許事務所から幣事務所に移管されて来ました。この特許出願は、「ホール素子を用いた位置センサ」に関するものでした。「ホール素子」の英訳は、「Hall device」ですが、この外国特許出願の英文明細書では、ホール素子が「hole device」と誤訳されていました。そこで、幣事務所では、各国の現地代理人に「hole device」を「Hall device」に補正するよう指示を出しました。

しかし、ドイツの審査官は、出願当初の明細書における記載「holedevice」を「Hall device」に補正することは、新規事項の導入になると言う理由で、この補正を認めませんでした。その結果、このクライアントのドイツ特許は、「holedeviceを用いた位置センサ」と言う奇妙なものとなり、ホール素子(Hall device)がカバーされない特許となってしまいました。

特許翻訳には、特許法の知識と、最先端の技術知識と、高度な英語力の全てが必要となります。これら全てを備えた特許翻訳者は、そう多くはいません。結果、特許翻訳費は、通常の技術翻訳などに比較して高くなります。しかし、些細な翻訳ミスで本来強力な特許が取れるものが、無価値になってしまうことを考えれば、特許翻訳は、費用がかかるにしろ信頼のおける人に頼むべきでしょう。

また、中国(台湾)出願と韓国出願では、翻訳料が、その総出願費用の6割以上になるケースがあります。そのため、クライアントによっては、「特許明細書の中国語翻訳は、中国語が判る知人に頼む」と言われることがありますが、筆者は前述した理由から、そのようなことはすべきでないとアドバイスします。

英語の翻訳の場合には、日本人でも、その翻訳の出来をチェックすることは出来ますが、中国語・韓国語については、日本人では、それをチェックすることはなかなか出来ません。これに対処するには、費用は嵩みますが、信頼のおける現地国の特許事務所に翻訳を任せることが、ベストと考えます。

事例2釣具の浮きの新発売後に模倣品が出現

釣り具用品を製造・販売している大田区の企業A社が、斬新な浮きを発売したところ、その発売から3ヶ月後、競合するB社がA社のものとほとんど同じ浮きを売り出しました。

A社の社長は、この浮きについて実用新案を自分自身で出願をしていました。 そこで、この実用新案の権利範囲を検討しました。しかし、この実用新案登録請求の範囲には、A社の浮きの重要な構成要件が記載されていなかったのです。従って、この実用新案では、B社の浮きの販売を阻止することは出来ないことが、判明しました。

この時点で、A社の浮きについて新たに特許出願をしても、A社の浮きはすでに販売されているので、特許出願の発明は、公知となっていると言う理由で、この特許出願は、拒絶されてしまいます。

そこで、幣事務所は、「不正競争防止法2条1項3号に基づいて、B社の浮きの販売を止めることを要求する」警告をB社に行うことを、A社にアドバイスしました。この条文は、他人の商品が最初に発売された日から3年の期間内において、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為を禁じています。このように、特許・意匠登録出願をしていなかった場合でも、新商品が他人により模倣された際には、その販売を阻止することが出来る場合があります。

以下のようなテーマも、中小企業の知財管理において参考になると思われます。これらの詳細については、弊事務所にご連絡ください。
・特許侵害の警告書に対する対応が、適切でなかったために、特許侵害訴訟に至ってしまった例があります。特許侵害の警告書が、送られて来た場合には、その特許の技術分野に詳しい特許専門家に相談すべきです。
・商標登録出願をした商標が、 Google 検索で、数多く発見されたとの拒絶理由通知を受けた場合の対処方法は?
・あるクライアントの PC システムの名称が、大日本印刷(株)所有の登録商標を侵害するとの警告にどのように対処したか?

(2007/11/01 近代中小企業)

 
■執筆レポート

・社運をも左右する知的財産管理の重要性

 
 

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