会社法の施行により、これから起業しようとしている方はもちろん、社内で別事業法人を任される方なども、経費節減を考慮した設立手続きを準備されるとよいでしょう。また、既存法人の定款を見直すことにより、経費を削減することも可能です。
以下、設立割合が最も多いと予想される「大会社以外の非公開会社」(発起設立・譲渡制限会社)を例に、具体的に考察します。
取締役変更手続きの伸長
現行法においては、取締役の任期は株式会社では原則2年とされています。しかし、家族経営的な企業など、株式譲渡制限会社については株主の変動も少ないと予想されます。
よって、株式譲渡制限会社については「定款で定めることにより」取締役・監査役の任期を最長10 年まで伸長することができます。これにより、従来2年ごとに必要であった手続き経費をカットすることが可能です。
尚、取締役の任期について定款に記載がない場合は、従来どおり原則2年(監査役は4年)となります。
役員報酬の削減
株式会社においては、従来、取締役は3人以上、かつ取締役会を設置する必要がありました。しかし、現在の株式会社の多くは株式譲渡制限会社であり、有限会社に近い実態を有しています。このため名目的な取締役・監査役も多く存在していました。会社法では、一人取締役会社も認められていますので、経営に全く関与していない役員をこの機会に解任し、役員報酬を削減することが可能となりました。
払込取扱い機関の見直し
法人設立の際、払い込まれた金額を証明するために、従来金融機関の払込金保管証明書が必要とされてきました。
会社法では、発起設立の場合は、銀行口座の残高証明等(通帳のコピーでも可)で、設立手続きを行うことができます。保管証明書発行の費用を削減することができます。
資本金と消費税
資本金規制が撤廃されましたが、企業の信用力、債権者保護等の観点からは、ある程度の創業資本金も必要でしょう。
その際、資本金が1000 万円以上であれば、創業時から消費税の課税事業者になります。資本金1000 万円未満であれば、事業開始から2期間は、消費税の免税事業者となることができます。創業時資本金と決算の時期も充分に考慮されるとよいでしょう。
電子定款認証の活用
法人設立時、公証役場にて定款の認証が必要ですが、通常、手数料+印紙代4万円が必要です。「電子定款認証」を利用することにより、印紙代4万円が不要となります。
これは、定款をPDF化して行政書士等の電子署名を付し、紙ベースでなくフロッピーディスクで公証役場に持ち込みます。これにより電子文書扱いになるので、印紙代が不要になるのです。指定公証人のいる公証役場、または電子定款対応の行政書士事務所にお問い合わせください。
LLC,LLPの活用
法人の形態は株式会社に限られたものではありません。短期事業やベンチャー事業、法人個人が協力する事業などは、合同会社(LLC)を選択することも可能です。定款認証も不要で、登録免許税のみ(6万円〜 資本金による)の実費で設立が可能です。
また、有限責任事業組合(LLP)であれば、法人税もなく、パススルー課税による税金面でのメリットも受けることができます。
(2006/05/01 速習)