小さな会社の生き残りの道は、社長の思いを文書化し、それに基づき社員を教育訓練していくことから始まります。経営者の思い⇒経営方針書⇒経営マニュアル集⇒社員の訓練と評価に一貫性があるとき、顧客の信頼を得てリピートが増えます。リピートが増えるとお客を増やすのに必要な費用をかけずに売上があがるため、大変利益性が良くなります。
(前回は、社員の教育訓練に具体的にかけた時間が、社員のやる気と能力向上につながり、同業他社との差別化になり、顧客に選択され会社の継続的な発展につながるという話でした。
今回は、ライバルよりお客に好かれる会社になるための社員の評価方法についてです。)
社員の長所を伸ばす
通常中小企業に入ってくる人は、色々な会社を渡り歩いてくる過程で、うまくいかなかった経験をしてきており、成功体験が少ないことが多いようです。そのため感性が鈍っている人がおり、それがやる気や仕事の成果につながらない原因ではないかと思います。
ですから、まず経営者が経営方針をきちんと示し、それに基づいて、自分はどのように努力するかを自己目標として書かせたり、勉強会において意見を言わせたりすることが大切です。これを繰り返していくと、少しずつ感性がよくなり、その過程で自分でも気づきがあるものです。
デール・カーネギーは「世の中で、人にあることをさせるように口説く方法は、たったひとつしかない。それは、その人が何となく自発的にそのことを実行したくなるように、上手に道案内をしてやることだ」と言っています。説教しただけでは、現代の社員を変えることはできません。
これらの努力を地道に繰り返していく中で、経営方針に合わせた行動をしている人が、いい給与・ボーナスをもらっているのを見たとき、他の社員も社長の本気を知ることになり、価値観が共有されていきます(図1、図2参照)。

社員評価にしても、協調性が5点満点中の3点、積極性が5点満点中の4点などのような減点主義ではなく、社長の方針のなかで、どんな貢献があったかを重点的にプラス評価してもらいたいと思います。
中小企業社員のなかには、子供の頃からあまり褒められた経験がないため、褒められることに飢えている人が多いものです。だから、欠点を一つ一つ見ていくのではなく、その個性と仕事レベルに合わせて、良かった点を重点的に見ていって下さい。
例えば、いつもC評価の田中君が何かの間違いか?お客様からお褒めの言葉を頂いたとします。その場合は、今までは今までとして、今期のボーナス評価に限り社員クラスの中でA評価でいいじゃないですか。
社員評価の本来の目的は、社員にやる気になってもらうことではないですか。それがきっかけで、田中君は仕事を頑張り出すかもしれません。これらの加点評価を続けていく中で、大企業にはない特徴が磨かれて「差別化」になり、それを気に入ってくれた顧客が皆さんの会社を必ず選んでくれるでしょう。
社員同士も互いの欠点はさておいて、各人の長所を見ながら力を合わせて会社を良くしていってもらいたいと思います。
会社も長所を伸ばす
そして会社も長所を伸ばしていくことが重要です。そもそも、あまり欠点がないからこそ大きくなれた大企業は、学校時代から優等生で欠点の少ない社員が仕事をしています。だから、会社も人も弱点のほうが少ないので、弱い部分をテコ入れすると業績は向上します。
これに対して、欠点の多い中小企業が少しばかり欠点を克服しても、普通になるだけで、顧客の支持が上がるとは限りません。この厳しい時代に間に合わないかもしれません。逆に長所を伸ばしていけば、その長所目当てにお客が増えるかもしれません。
「うちあたりに長所があるのかね?」
でも、実際にお客さんはいるのでしょう。そのお客さんは何で皆さんの会社を選んだのでしょうか。必ず何らかの理由はあるものです。
例えば、最近の新規顧客を購買日中心に時系列に並べていき、年齢や地域や購買動機など記入していくと、ある傾向がつかめるかも知れません。それを分析し、その傾向部分を徹底して伸ばしていくことが、いわゆる「差別化」というものではないでしょうか(図3参照)。

一般的に世の中に流れている情報は、資金力と人材の数と質が中小企業の何十倍・何百倍もある大企業の理論です。ですから小さな会社の場合は、世間の本やセミナーなどに惑わされることなく、独自の視点で人も会社もその長所を中心に伸ばして行き、大企業とはひと味違う会社づくり・人づくりをやっていってもらいたいと思います。
最終回は、同業他社よりお客に好かれる会社になる方法のまとめです。
(2007/04/01 近代中小企業)