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カウンセラー名: 並木由紀雄
 
 
 
 

人口減少時代に生き残る!「小規模事業所の業績向上戦略」
並木労務経営事務所 並木由紀雄


 

現在多くの業界で値下げ競争になっています。
大企業は世界的規模で安い材料を調達し、さらに大量生産販売することでトータルで利益を出してきます。
資本力と社員数が限られた小規模事業所では、とてもマネをすることはできません。
それなのに、同業者との値段競争で受注単価が年々下降しているなかで、反対に材料費や人件費高騰(社会保険料・初任給などの上昇)のため、利益がますます低下している企業も多いのではないでしょうか。
市場が縮小する21世紀では、小規模事業所こそ取り扱う商品サービスを顧客志向にし、付加価値をつけて高くても買ってもらえるような戦略を考えていかなければ、とても生き残れません。

■現在の問題点

「万人向けだから値下げ要求される」

かつてのデパートは「何でもあるけど、何もほしいモノがない!」と言われました。
老若男女すべての人々をお客にしようとすると、
「商品の種類は多いが、みんな色が気に入らない!」お客
     とか
「そのサイズは在庫を置いていないので、お取り寄せになってしまいます」店員
ということになり、特色が出せずありきたりの商品構成のため、結局、誰もほしがらないことになってしまいます。
これは企業間取引でも同様で、いろいろな業界に売ろうとすると、顧客企業が本当に求めている品質の高い商品サービスは作れず、ライバルと一緒になってしまい、結局値下げ競争につながってしまいます。
これがモノがあふれている21世紀で、なおかつ少子高齢化が世界に類のないスピードで進行する日本の現状と問題点ではないでしょうか。

■業績向上戦略 その1
「わが社のお客様像を明確にする」
どこの会社でも「こだわり」を持った商品づくりやサービスをやっています。
そのため、同業各社の「こだわり」がたくさん世の中にあふれていて、お客側から見ると提供者側が言うほどの良さは感じられないというのが現実ではないでしょうか。

図1「世の中に、各社のこだわりがあふれていて目立たない!」


きびしいようですが、自分が顧客側の立場になって他業界を冷静に見てみるとわかります。
また、資本力や社員数が限られた小規模事業所で、自社の力の範囲を超えた取扱商品や販売地域をもっていると、いろいろやっていることの一個一個がライバルとの競争で負け組になってしまい、値下げ要求されたり、その他ムリな注文を出されるなど会社の利益率を下げる要因にもなっています。
それくらい日本は、いろいろな業界が供給過剰状態になっているわけです。
社会が成熟し、お客側が皆ベテランになり、商品サービスに対する要求水準が非常に高い現代では、わが社がターゲットとするお客様を絞り込むことが不可欠です。
そうでなければ、顧客の高い要求を満たすことのできる商品サービスは作れません。

図2「お客様絞り込みの着眼点」

■業績向上戦略 その2

「重要なことは経営計画書に定める」
そして明確にしたわが社のお客様に対して、どんな活動をしていくかの具体的方針を定めたものが経営計画書です。
経営計画書というと、何か大企業のものと考える人も多いようです。
でも私は、小規模事業所こそ作るべきだと考えます。
大企業は新規学卒者中心の採用であり、また十分な研修会があります。
それに対して私たち小規模事業所では、大半の社員が中途採用者で、なおかつ社員研修もほとんんどやれないのが実情です。
そのため、前の会社のやり方や20歳代に初めて就職した会社の考え方がしみ込んでおり、それが原因で幹部と社員、あるいは社員同士の仕事の連携に支障をきたしたり、人間関係を悪くしている場合が多いものです。
ですから、小規模事業所でも経営計画書を作り、前項で説明したような「わが社のお客様像」や「商品に関する方針」「営業地域に関する方針」「顧客サービスに関する方針」などを明確にしておくべきだと思います。
それがないために、例えば営業マンによっては、わが社が取扱うべき商品に不向きなものを勝手に取り寄せたり、遠くの方でお客様を作ってきて、その後の配送やアフターフォローが不十分になり契約解除されたりして、ロスト客が同業平均より多い原因になっていたりします。
社員側にしても、朝礼会議などで経営者からその都度その都度違うことを言われても、いったい何が重要なのかわからなくなってしまします。
経営者が言ったことに対して、ちゃんと出来ているかどうかのチェックをしなければ、誰も本気になってやろうとは思いません。
また経営計画書があっても、売上利益などの数字中心にし、社員に対するノルマとしているいる会社があります。
しかし現実は、ベテランクラスでも「今年の売上利益の数字を達成しても、また来年のノルマがきつくなるだけだ。適当にやっておこう」といって本気になっていなかったり、若い人の場合は「頑張っても、どうせ自分たちにはまわってこない。残業が続くくらいなら、会社目標は達成しなくていい」などと考えていたりします。
現代社員は、生活苦で働いていた昔の社員とは違っていて、経営者が思うようにはいかないようです。
お客様の方でも、商品サービスを提供する会社の売上利益目標が何億円だろうと、まったく関心はありません。
お客様が知りたいのは「どんなことを私たちにしてくれるのか?それが他社よりどうすぐれているのか?」とういうことだけです。
それがわからなければ、ライバル会社の方と取引するだけです。
以上のようなことから、経営計画書は数字中心ではなく、「お客様に対する使命」「具体的な顧客サービス」などを会社方針として示すと同時に、顧客満足による会社発展が社員の達成感や幸せの実現につながることも示していくことが不可欠な時代になりました。

さらに、業務が複雑で高度なものが要求される部分は、経営計画書とは別に「経営マニュアル」を作成しておくこともお勧めします。
「経営マニュアル」とはいわゆる業務マニュアルのことですが、単なる作業という視点ではなく、同業ライバルとの強い差別化の意図を込めています。
具体的には、住宅産業モデルハウスにおけるお客様のご案内マニュアルをご覧ください。
このような一番大切なお客活動に関する定めは、世の中にはあまりないものです。
ISOや就業規則にも具体的には出てきませんので、企業活動で大事なことに関しては自社でよく研究をし、作成しておくことが同業ライバルとの差別化への近道です。

図3参照「経営計画書のイメージ」



図4参照「経営マニュアルの事例」モデルハウスに関する運営マニュアル


■業績向上戦略 その3

「社員評価の基準は経営計画の理解と実践度」
前項でもご紹介したように、今の若者は、自分や友達の父親・親戚のおじさんがリストラされるのを見ているので、昔の社員のように会社のことを信用していません。
だから、社員の能力向上と仕事のやりがいを会社方針として明示することで、「会社発展」と「社員の成長や幸せ」が連動していることを伝える必要があります。
生活苦のために働く時代でなくなった現代では、社員はお金だけでは動きません。
そのために必要なことは、社員評価の基準を経営計画の理解と実践度に合わせることだと思います。
世の中にどのようにお役に立つかという“会社の使命”を明確にし、口先だけでない本当のお客様第一主義を実行すると、お客様が心から感謝の言葉を述べられ、それが社員たちの“やりがい”“生きがい”になってきます。
社員の能力向上と仕事のやりがいは、社員自身の幸せにもつながってきます。
そして「経営計画にもとづいたお客第一主義」を実践することは、リピート注文、口コミ、紹介が増え会社業績がたいへん良くなりますから、社員の給与賞与も増えて家族を幸せにすることができます。
そのためにも、経営計画と社員の評価と処遇の一貫性が非常に大事だと思っています。
一般的に紹介されている人事評価表は、昔の労働省出身のコンサルタントが作り、その後1980年代のベルトコンベアーを使用していた時代の製造業などで活用したものが原点となっており、現代の複雑で顧客志向が要求される各業種には合いません。
「役人組織の減点主義が時代に合わない」と今問題にもなっています。
国民の方へ眼が向けられずに、自分の組織を守るのが精いっぱいの状況です。
民間で協調性、積極性が5点満点中で4点などとやっていたら、お客は「なに、この会社不便ね!」と言ってライバル会社にさっさと行ってしまいます。
ですから社員評価の基準も、お客活動を具体的に示した経営計画や経営方針の理解と実践度を中心に見ていくべきです。
顧客の要求基準も高く、ライバル会社との競争の激しい現代では、評価も少し複雑で微妙な面もありますから、できたら社員ときちんと評価面接をし、説明や話し合いをすることをお勧めします。

図5参照「新時代の社員評価表の事例」


■まとめ

今まで説明してきたように、社会や世の中の人々に貢献するための“お客中心の経営計画書”をつくることで、会社の使命を明確にし、社員にもよく説明していただきたいと思います。
自分達中心ではなく、お客中心の経営計画と経営マニュアルを実践することは、お客様の支持を得てリピート注文・口コミ・紹介が増えますから、新規営業コストをかけることなく売上をあげることができるので、会社の業績は格段に良くなります。
当然、経営者も社員も金銭面でも豊かになり家族を幸せにすることにもつながります。
経営計画にもとづいた、口先だけでない本当のお客様第一主義を実践すると、お客様が心から感謝の言葉を述べられ、それが社員たちの“やりがい”“生きがい”にもなってきます。
そのためにも、まずは自社のお客様像を明確にし、お客様が何を求めているかをよく研究し、それに合わせて商品サービスを磨き込んで下さい。
そして経営計画や経営マニュアルを作成し、社員への説明と必要な教育訓練を実施し、経営計画の実践度に応じた社員評価を行ってみてください。
21世紀のお客様・お客様企業は、きっと小さくてもお客活動に熱心な皆さんの会社を選ぶことになるでしょう。

 
■執筆レポート

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