私たちは誠実さを昔から大切にしてきたのに、それが失われつつあるように感じます。自分の立場が危うくなると、つい誤魔化しの言葉が口をついてしまいます。「いつかバレるかもしれない、それどころかバレたらもっとマズいことになる」。そんなことは、ちゃんと分かっているのにも関わらず…。
私は嘘が苦手です。苦手というよりは、むしろホンネが黒々と顔に書いてあるので、すぐにバレてしまうのです。どうせ嘘がつけないのだから、誠実さを堂々と主張してきました。
「誠実とは、嘘偽りのないこと」。
これには揺るぎない確信がありました。ところが、この確信を揺さぶる出来事が起こりました。誠実だと思っていた人から正直に事実を伝えられたことで、ひどく傷ついたのです。矛盾していると思いながらも、なぜ嘘をつかないのかと責めました。
誠は「まごころ」とも読みます。
この出来事がきっかけで、正直さには「真心」を加えることで、はじめて「誠実」といえることに気がつきました。私自身、真心を忘れて正直な意見をぶつけたことが度々あったからです。もはや、今まで自分がやってきたことが我が身に降り掛かってきた、としか言いようがありません。嘘は我が身を守るための手段ですが、正直さをさらけ出すこともまた、我が身を守るだけに過ぎません。極端な正直さって、実は嘘と同じくらいダメージを与えてしまうのです。言葉にオブラートをかけるなら、嘘ではなく真心で包んでから伝えたいものですね。
(2005/06/01 近代中小企業)
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