「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わずゆけよ、ゆけば分かるさ」
アントニオ猪木の有名な名言です。足元は霧に包まれ、一歩先は崖っぷちかもしれない。それでも踏み出す勇気を持て! と。
でも、これが素晴らしいと分かっていても、実際に踏み出せる勇気がなかなか出てきません。たいがいの人は、先を見据える力があり、少しでもリスクを減らす工夫ができるからです。
ところが、私にはその能力が欠けているようです。今年の六月、海外活動をするためにニューヨークへ行きました。とりあえず出来ることは、ギャラリーやカフェやレストランへ、作品を展示してもらうための飛び込み営業。二十件ほど回ったでしょうか。
仕事でニューヨークへ行った、なんて言うと憧れてくれる人もいますが、現実は違います。突然の雨に傘を買う店すら探せず、全身ずぶ濡れになったり、作品を持てるだけ背負い、ハイヒールで五日間歩いたら、足は傷だらけ。絆創膏が一箱なくなりました。こんな有様だから、「よくそこまで出来るよね」。珍しそうに目を丸くされるのです。
最初の一歩を踏み出せば、道が出来るのは一〇〇%事実。でも、その裏舞台はカッコ悪く、孤独です。いつでも自由に、その足を引っこめることはできるのです。それでもなお、無謀な行動に心惹かれるのは、まさに自分自身の足で歩いているという快感がたまらないからかもしれません。
(2005/11/01 近代中小企業)
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